案の定、野村監督にきつく説教された二人は居残り練習を十時までさせられた。

「っーかよくよく考えてみりゃ・・・なんで俺がこんなメに合わなきゃなんねーんだよ。」

お前なんか世話焼かなきゃ良かったと言いながら広い体育館をモップかけていく。

「サボんじゃねーよ!!」
後ろからモップで油断している結城の足を押すと
「うわっ!!」
「あはははっ!ざまぁ!」
よろける結城に追いかけられ逃げ回ってると、

「仲いーね。居残り組。」

風呂上がりの不破が通りかかると嫌みのように未茉達に言うと、

「なんだよ不破!仲間に入れて欲しいならいれてやるぜ!」
「誰がだッ!あ、翔真。お前の女また浮気してるぞ。」

続いてやってきた風呂上がりの集団の中にいた翔真に不破はあえて話を振る。

「あ、ほんとだ。」

笑う翔真は体育館をひょこっと覗きながら言った。

「翔真、わりぃ。今日行きたい店あってたまたまいた白石に付き合って貰ったんだ。話してたら遅くなって悪かった。」

結城はすぐさま翔真にそう謝ると、変な顔をしたのは不破だった。
「いや、いいよ。」
やはり仏のような笑顔で答える翔真を見て、

(あたしが早乙女と一緒だったったら怒るのかな?あんまりそうは思えないけどな。)
嘘はよくないし、正直に言った方がいいんじゃないかと思いながらモップをかけてると、

「お風呂入ってきなよ。風邪ひくよ。」

未茉の持っていたモップを取り上げ、汗と雨に濡れた頭をクシャッと撫でながら翔真は言ってくれるも、

「いーよ。自分のペナルティーだし。結城と替わってやってよ。」
「仲いーな。」
少しだけ寂しそうに聞こえた声と、髪を撫でられる大きな手から妙な罪悪感を感じた。