一緒に二人で話ながら歩きたいって言うから早乙女と森林コースを並んで歩いた。
インターハイでの話、対戦相手がどうだったとか。
今、名古屋第一と一緒に合宿過ごしてて不破はすぐキレる奴だとか。
互いの現状や秋の国体やウィンターカップのこととか話してるうちにあっという間に時間が過ぎ、軽井沢の駅へと到着した。

「早乙女!見て見て!!」

新幹線の乗り場につくと未茉はソフトクリームを買ってきてベンチで待つ早乙女に手渡す。
「変わった色。メロン味?」
「ううん!つま恋キャベツ味!」
「えっ」
「あはははっ!軽井沢って感じだろ!?」
「軽井沢っていうか・・白石さんっていう感じ・・」

まずはペロッと未茉はソフトクリームを舐めると、
「あっなんかよく分かんないけど美味しいよっ!はいっあーん!」
早乙女に向けて食べさすと、
「うん。なんかこう緑っていう味……」
「あははっ!」
終始未茉の無邪気な笑顔に包まれながら早乙女の胸は高鳴っていた。


「……時間があっという間だね。」

静かな駅のホームには人がいなかったからか、余計にそう思え腕時計に目をやった早乙女がそう呟いた。

「……一時間でも五分でも一分でも会えればいいって思ってたのに、充分すぎる時間だったのに、こんなに名残惜しいっていうか……」

「……」
「寂しいな。」
胸の切なさを押し潰すようにきつく瞼を閉じながら呟く。

「ごめんね。白石さんに相応しい男になるまでもう一度告白する日まで会わないつもりだったのに来ちゃって。」

「ううん!全然。」
(……)
少し考えて健の言葉を思い出して口を開いた。