「お、翔真!ようやく来たか。時間ギリだぜ!」
息を切らしながら教室に飛び込む翔真のバッグから溢れ出す手紙やプレゼントの山を見ながらも、‘おっーす’と結城と三上と手を叩き合う。
「あー……なんだか。まいった。」
「ネットやメディアの影響はすげーな。」と言いながらも山程の手紙やネットのDMを目を通す結城は悪い気はしてない様子だ。
「おはよ。未茉ちゃん」
「モテ男じゃん!おは~」
未茉はニヤッとしながら物理の教科書を広げて椅子を揺らしながら顔を後ろへと向ける。
「何食べてんの?」
「ああ、これ?これは裏切り者のお供え物だよ。」
ギロッと隣の結城を睨むと‘ギグッ’と体を震わせる。
「一緒の被害者だ。翔真にも分けてやろう。」
「ん?被害者??」
ちんぷんかんぷんの翔真は首を傾げる。
「いる?」
ポッキーを食べながら箱に入った残りのポッキーを翔真に差し出すと、
「ん。ありがと。」
翔真は屈んで未茉の両頬を軽く両手で押さえるように持ち上げ、
「え……?」
急に顔を近づけてきて目を細めて
「!!?」
未茉が口にくわえてたポッキーをパキッと折って食べた。
「「なっ!!??」」
ポッキーキスするのかと驚き、結城や三上を始めクラスメイト達は引っくり返りそうになっていた。
「お前・・・こっちの箱から食うだろ!?普通!バカかっ!!」
‘そうじゃねぇだろ・・’とクラス中から突っ込み入れたくなるが特に照れることもない未茉に、
「こっちの方がよかったの。」
と席に着きながらにっこり笑ってもぐもぐと食べる翔真に
「・・お前は・・・、俺に感謝しろよ。ぜってぇ俺に感謝しろよ。」
と結城は翔真の肩に手を回しながら呪文のように圧をかけたのであった。