「よっ、と。」

もう起きそうもない未茉を抱き上げながら翔真は合宿所に戻ると、

「何、寝てんの?それ。」

廊下で二年の女子達とすれ違い、前原がしかめっ面で翔真の胸の中で寝る未茉を見て言った。

「はい。ぐっすりと…」
「どっかその辺の山にでも捨てれりゃいーのに。」
「ひでぇ。」
冷たく言う矢野に苦笑いしながら言うと、

「よろしくね。」
‘うちのエースの送り届けよろしくね。’たった五文字のそっけない言葉でも前原からそう意味が込められてる気がして、

「はい。」
と嬉しそうに翔真が微笑むとさっさと行ってしまった。


……コンコンッ。
「はぁーい!わぁっ!!みっ……湊君!?」

一年女子の大部屋のをノックすると、扉を開けた吉沢が驚いて引っくり返りそうになってる。

「えっ!!白石さん寝ちゃったの!?」
「うん。ちょっと入ってもいい!?」
「も……もちろん!!!ねぇーみんな大変大変!!湊君が来たぁ!!!」
「「「えぇっ!?」」」
悲鳴のような喜ぶ声が聞こえて、バタバタと集まってきて女の子達はあたふたしてる。