「あははははっ!!」
体育館が静まり返る中、お腹を抱えながら笑う翔真の声が響き、

「翔真の野郎…」
ムッと不破が睨んだ。

「てか…三上さ、久我原に1対1勝てる自信あるか…?」
未茉の実力をまざまざと見せつけられた結城は呆然としながら尋ねた。
「勝てるわけない…。」
信じられないと我が目を疑いながら首を横に振った。

「久我原は強い…。間違いなくナンバー1ガードだ。でも白石と対戦すると普通に見えるだけだ。」
同じポジションの橘は、これを越えないと全国で勝負はできないと己の未熟さに悔しさも募っていた。


「くっそ…全国優勝の王子学院をぶっ潰した俺らが無名高の女になんか負けるなんて…」
惨敗し悔しそうにベンチに帰る久我原がそう呟くと、

「えっ?!!」
その声を聞き逃さなかった未茉は、声を張り上げた。
「じゃお前らが健兄を怪我させたのかよ!?どこのどいつだ!!?」


「あ…?」

「まさか、お前か?不破。」
問いかけに反応した不破を未茉が睨むと、


「おお。俺様より強い奴は越える。それがエースの宿命だろ。」


「おもしれぇ…!!仇はあたしが取る。」
嫌いじゃないその逞しさにボールを投げて挑発するように微笑むも、


「……翔真。」

だが不破は背を向けたまま翔真を呼んだ。


「え。」

……トンッ……
ボールを床に叩きつけながら、


「俺らやるか?」


「!」

その面白すぎる対戦に体育館が一気に湧いたのは言うまでもなかったが、

「いや、日を改めましょう。」

「あ?」
「マジでまだうさぎ跳が効いて気持ち悪くて立ち上がれないです・・」
ウッ・・・と胃を押さえながら翔真はギブサインを出す。

「お前んとこの監督は鬼だな・・・。」


その頃、新米斎藤は、

「明日こそはあのスタミナ漲る白石をギブさせるくらいにしごいてやるぞぉおおっ!!待ってろ軽井沢の巨乳ちゃんっ!!!」
練習メニューの見直しに燃える、経費で夜遊びを企む斎藤であった・・・。