「翔真っ!!!白石が名古屋の奴と勝負するって?!」
バタバタと体育館には噂を聞きつけた明徳部員達がやってきて、壁に寄りかかって座って見てる翔真に尋ねる。

「うん。スイッチ入っちゃったからね。」
止めもせずにただぼんやり見守る翔真は答えた。
「勝てるわけねぇじゃん・・・相手はとんでもねぇパワープレーヤーだろ!?辞めさせろよ。」
いくら白石でも無理だと結城は怪我でもするんじゃねぇかと心配するも、
「ああ、さすがに相手は不破さんじゃなくて、ガードの選手」
「いやいや、だからって…」

(翔真が止めないってことは勝てると踏んでるのか?…いやいや・・全国ベスト4チームのガードだろ?)
冷静に三上は考えるも、やはり不安は残る。

「……」
前原や矢野を始め、橘達二年はその勝負に興味を示したのか黙って見つめた。



「じゃ、行くよ。」

負ける気などサラサラない久我原はさっさと終わらせようとボールを叩き、

……ゴールへ走った。

「スピードなら負けねーな。」
と不破はニッと久我原を見るも、
「何ッ!?」
中へ突破をはかろうとする久我原に真っ正面から未茉はあっという間にボールをカットする。

「「なっ……?!」」

ーーシュッパッ!!
そしてアウトサイドから簡単に未茉は入れてしまった。

「嘘だろ……」
「早すぎて見えねーし……」
明徳部員でさえ驚き、体育館は静まり返ってしまった。

「白石……またうまくなってるな。」
橘の言葉に隣にいた矢野は身震いをした。
何度も目の前で試合を観ていたのに全国の強豪男子相手にも向かっていける精神力に思わずゾクッ……と鳥肌がたった。