「いやぁ~今日一日、ボール触ってなかったからちょうどよかったぜ。」
バッシュを鳴らしながら軽く準備して、ボールを床へ叩く未茉は不破を見ながら微笑む。

「おい不破、本当にやるのか。」
体育館にやってきた名古屋第一の監督が不破に尋ねる。

「やりますよ。」

「「おおっ……!!」」
名古屋第一の部員達が一斉に驚くと、
「ただし、コイツがね。」
そうトンっと不破が肩を叩いたのは、一年でスタメンのガードの久我原だった。

「不破とって言ったじゃん!!」
未茉が猛抗議すると、
「テメェじゃねーんだ!!食ったばっかで動けるかっつーのっ!!」
「くそぉ。」
せっかく全国ナンバー4で破壊王と呼ばれる不破とやってみたかったのに。と睨むと、

「そんな顔すんじゃねぇ。白石。うちの久我原は名古屋のナンバー1ガードだぜ?」

「ふうん…身長173くらい?細身だな。確かにガード向きだな。」
……でも勝算は自分にあると睨んでた。
「……宜しく。」
女相手だからか少しドキドキはする久我原は白石と握手を交わし、

「ふーん。それなら名古屋のプライドが傷つかねーようにせいぜい気を付けるんだな。」

不破に未茉は挑発したように指差して言うと、
「「なっ・・・!!!」」
監督を始め名古屋の部員達みんなが驚きのあまり言葉を詰まらせた。

「はったりだ…!!」
「天才だからって女相手に久我原が負けるはずがない!!!」
「舐められちゃ困るぜ。」
切れ長の鋭い視線で不破は未茉を睨みながら鼻で笑った。
(愛知や近県の中学全てのエースが強豪のうちにこぞって入学する。その中で一年でうちでスタメンを勝ちとった久我原がどれだけ凄いか…思いしるがいい。)

「いいかぁっ!?白石ぃ!!お前が負けたら、奴隷決定だ!!この俺様をこれからは不破様と呼ぶんだぞ!?いいな!」
「ああ、いいぜ!あたしが勝ったらお前が奴隷だからな!!!」