「俺さっきこの女に会った・・」
一方、不破率いる名古屋第一のメンバーが座る男子バスケ部も、今日発売の高校バスケ雑誌を広げていて、
「えっ!?マジで!!」
「バスケ選手なのに超可愛くねっ!?」
「合宿かなー会いてぇなー」
男子部員達がざわざわと不破に向かって騒ぎ始めるも、
「ちっとも可愛くねー・・・」
あんな失礼極まりない女に出会ったのは初めてだと苛立ちながら不破はページを捲ってく。
オラオラで俺様な不破竜之介だが、理想の女性像はやまとなでしこだった。
間違っても人様にタックルしてきて馬乗りになるような女じゃない。
「天才だとぉ・・?あの女がぁ?」
だがインターハイ行きを決めた大成女子よりも大きな特集をされている無名校である明徳の記事に彼女は関係者からも称賛の嵐を受けていた。
(田島を抜いた…?あの女が?)
全国でも名高いスーパープレーヤーの田島は男子だって知っていた。ちょっと信じ固い事実にページを捲ってくと、
「あれ。コイツは…」
同じ明徳高校の翔真の記事に目を止めた。
「くかぁ~~~」
と散々お菓子を食い荒らした未茉はいつの間にか翔真の肩に寄りかかり寝てしまい、
「ん……」
窓からの強い日差しが眩しくて無意識に翔真にかけたパーカーの中へと潜るようにくっついて眠っていると
「……?」
すぐ近くに感じた未茉の吐息と匂いと柔らかな感触に翔真は目を覚まし、自分に服をかけてくれていたことに喜びまた寝ようとするが、未茉が被っていたパーカーを一緒に自分の顔にも被せ
「スーッ……」
密着する真っ暗な影の中で寝息をたてる未茉の唇に自分の唇を近づけてくと、
「あ、いたな。羊頭。」
足音が止まり頭上から声が降ってきたと思ったら
ーーバッ!!
とそのパーカーを急に剥ぎ取られ、翔真の視界は明るくなると、
「翔真久し……」
と言いかけた不破の手はフリーズするように止まり、
「な・・・何やってんだ!?オメェは!!!」
未茉の頬に手をあてキスをしようとしていた翔真の姿があらわになってしまった。