「未茉ちゃんは?」

新幹線の発車時刻が迫り、ホームでは荷物を抱えた明徳バスケ部が次々と乗り込んでいく中、キタローとトイレに行ったはずの未茉が戻ってこなくて辺りを見回す翔真であった。

「アイツのことだから道草食ってるに違いないな。」
「間違いないね。きっと土産やにでもいるんないか。」
さすがの結城と三上の読みはズバリ当たっていた。

「俺ちょっと探してくるかな。」
「やめとけ。行き違いになるぞ。キタローがいるんだから大丈夫だろ。」
探しにいこうとする翔真を結城が止め新幹線の中に強引に押し込む。

「白石行方不明らしいよ。」
「あのバカ・・。」
悠々と座る二年女子達がその騒ぎを前原に報告すると、
「バカは置いていけばいいわよ。ったく。」
「ま、湊君がなんとかしてくれますよ。」
一年女子も誰も心配することなく冷たく言い放たれるのであった。

「あ~~っ♡♡軽井沢には僕のお嫁さん候補いたりするかなぁっ!!」
エースが行方不明でも全く心配もせずワクワクっと胸を弾ませる新米斎藤は、
「お前らっ!夜は早く寝るんだぞぉ!!」
「せんせぇーいかがわしい店行くんだろー!?」
男子達がそう突っ込み車内は賑やかに出発の時を待っていた。