「自分が負けてもめったに泣かねーのにな。泣いてくれんだよな。俺のために。」
未茉が泣いたら健は泣けないって知ってる。
未茉は健に泣いて欲しくない。
「未茉を泣かせない為に俺は強くなる。……ガキのくせにそんなこと思ってたけど、泣かせちまって俺もまだまだだな。」
触れるとその表情も仕草も体も女になってく未茉に戸惑うのは、弟の匠だけじゃないってことがなんとなく分かってきた。
「……未茉。」
「うん」
「キスして悪かった。」
触れていた髪から手が離れた時、健は真っ直ぐな目を向け謝った。
「でも湊にはまだ渡せねーよ。」
「なんだそれ」
何を張り合ってんだか分からなくて思わず笑うと、
「まだお前は俺のもんだ。」
「……!」
「隠れて付き合ったらぶっ飛ばす。って湊に言っとけ。」
健は立ち上がり‘いいな?’って確認してリビングを出ていくと、
「じゃ健兄もまだあたしのもんだから、もう負けるのは許さねぇよ!!」
「……!」
「絶対、許さないからっ!!」
「おー。当たり前だ。」
後ろ姿で手を振って健は家に帰ってった。
やっぱり健は世界一カッコイイ兄貴だと再確認した未茉だった。
一方その頃、、静香は、
「マイクさん、キスってそんなええもんすかね?一回してみてもらえまへんか?」
「ohmygod…どうした静香・・・それは罰ゲームなのか・・・?!」
「半分アメリカ人やないですか。絶対うまいんやろ?キス。」
キスがどれだけいいもんなのか知りたくて体育館で練習するマイクの元に訪れた静香なのであった・・・。