帰宅すると家の電気がついてて弟達がいると思ったら、リビングにいたのは未茉を待ちソファーで寛ぐ健だった。
「おかえり。」
「おわっ!!健兄!!びっくりした!あれ?和希は?」
「部活から帰ってきて友達のとこ行ってる。」
「アイツ親がいないからってしょーもないなぁ。あたしも今日静香と莉穂と会ってたんだ!」
「うわー。店に迷惑かけたろ?」
想像つく健はケラケラと笑いながら言った。
「おう、今回は出禁にならなかったぜ。」
「基準がそこだもんな。やべー。あ、俺明日から寮戻るから。」
いつになくよそよそしい雰囲気を察知したのか、健は簡潔に用件を口にした。
「そっか。なんかこっち戻ってきても全然ゆっくりできないじゃん。」
「まー。する気もねぇけど。」
もう健の頭には冬の全国ことしか頭にないのが未茉にも伝わってきた。
「最後の夜くらい久々に風呂入って一緒に寝るか?」
ニヤッと健は人の反応を楽しむかのように笑って言うが、
「なんか悔しいぜ…健兄が夢叶えるの見たかった。あたしずっとその姿見てきたから。」
「おう。さんきゅ。来年叶えるからさ。な?だからお前がそんな顔するなよ。」
静香から聞いた話が目の前のビジョンになって思い浮かぶとどうしても涙が溢れて堪えるのに未茉は必死だった。
「なんか俺がかっこわりーな。これ。」
「違げぇし!」
「……未茉。ありがとう。」
「……」
「お前、昔っから俺が負けると代わりに側に来て泣くよな。」
未茉の頭をくしゃっと撫でながら健は幼い頃を思い出したように笑った。



