ピーンポーン
月曜日の三時過ぎ、白石家のチャイムが鳴り響き、
「はぁ~~~いっ♡♡」
スリッパをパタパタと慌ただしく音を立てながら甲高い声と共に未茉ママが玄関の扉を開いた。
「あら!やだ!!湊君っ!?」
そこには学校帰りの翔真が立っていた。
「はい、こんにちは。」
「やっだぁ~~~♡♡♡この前の試合中も超イケメンだったけど、近くで見てもやっぱりイケメンだわぁ~~~♡♡♡困ったわぁ♡♡どぉしましょお♡♡♡化粧しててよかったわぁ~~♡♡」
「あはははっ。」
相変わらずのテンションで笑かしてくれる未茉ママに翔真も心が和むと、手にしていた預かり物を差し出した。
「これ、プリントとノートです。あとこのプリンはマネージャーの北の手作りです。」
「え~~~♡♡♡♡♡まぁ!!美味しそう!!わざわざ届けてくれるなんて湊君ってば優しいわぁぁあ♡あ、あの子ねさっき勝手に出かけちゃったみたいで。気づいたらどこもいないのよぉ~~~。全く困ったもんだわ。」
「そうですか……。」
決戦の週明けの月曜日、未茉は額の傷口を縫いに病院に行くため休んでいたのだ。
一目見たかった翔真は残念そうに答えた。
「湊君も辛いのに心配してくれてありがとうね。」
「いえ全然。」
「も~~~私の中では圧倒的に湊君が優勝なんだけどねぇっ♡♡♡」
「あはははっ。」
イケメンにテンションの上場のママに翔真はしばらく笑った後、
「またご飯食べに来てね~♡♡」と見送られたのであった。