「おま・・・!!頭おかしくなったか!?目を覚ませ!!!」
ぶんぶんっ!と翔真の両肩を掴み頭は大丈夫かっと揺すり始める。

「恐ろしい女だなぁ・・・白石。あんな鈍いふりしてこの翔真を手のひらで転がすなんて・・・」
「まぁ、星河兄は高校バスケ界の貴公子だし、翔真は東京バスケ界の新人スターだし、どっちも捨てがたいよな。その二人をたぶらかすなんて……ある意味天才だな。」


「なんで友達をそんないい方すんだよ・・・。」
勝手に二股話を広げる二人に翔真はムッとして、
「目は覚めてるし、頭もおかしくないし。俺はこれでいいと思ってる。」

「うわ・・・もう何言っても無駄か。せっかく俺がナイスアシストしたと思ったのによー。」
あの日俺が白石の背中を押したんだと結城はブツブツと言い始める横で三上は、翔真の表情を見て、

「なんでそんなスッキリしてるの?気持ち言えたから?」
「まぁ。それもあるけど。」
「それも?」

「んー。明確なライバルが一人になったって言うのが楽かな。」

「・・・は?」
「いっぱいいたんだぜ?」
嫌な顔しながら、指を折って数え始めた。

「大成の早乙女に、王子の星河兄弟にあと成瀬さんもほんのりそうだろ?あ、あと東条だ。最近ではあの天才サッカーの荻山さんとか、ちょっと前まで男バスやら他のクラスまでいたじゃねーか。あ、北もだ。」
もう気が気じゃないとベッドに寄りかかりながら言った。

「益々ムカつく女だなぁ・・おいっ。」
「いや、それより改めて凄いメンバー……。」
試合ができそうだと三上がしみじみ言うと、翔真も笑った。