「パパが開いてるクラブリーグこっそり見に行って兄貴や健兄や匠兄がやってるの見て真似してたら、兄貴や匠兄には怒られたけど、健兄だけは違った。」

‘未茉バスケやりたいの?’
‘やりたい!ピアノなんかやだっ!!未茉もバスケやる!!’
‘よし、内緒で教えてやる!’

「あたしにバスケを教えてくれたのは健兄だった。毎日それからこっそり教えてくれた。健兄のおかげでメキメキ上達して最終的にはパパ達に本格的に教えてやってくれって頭下げてくれたんだ。」

「……へぇ。」

「あたしの相手をめんどくさがる兄貴と違って、いつもあたしの為に教えてくれてたのも健兄だった。」

「好きになるのも無理ないね。」
静かに納得するように翔真は頷くと、

「好きなんだと思う。」
「……」
「ずっと男で一番好きなのは健兄だと思ってたから。」
「うん。」

「…でも翔真が好きになってくれたこと知って、胸がドキドキしたりするようになってよく分かんねぇ!!くーっ!!」
どうしたらいいのか混乱したように未茉は自分の頭をぐしゃぐしゃにしながらテンパると、

「大丈夫。」
なんの根拠があってそういうのか分からないが翔真はそう力強く頷き、

「俺は何回フラれても好きでいるし、星河さんを選んだとしても俺は未茉ちゃんを諦めるつもりなんかないよ。」

「へぇ…結構しつこいんだな。翔真は。」
「そこってそういう反応するところなのかな?」
「バスケでもあんましつこいイメージないし。」
「見てて。何回でもダンク決めるから。」


「おう。じゃ楽しみにしてやるか。」

面白そうに二人は顔を見合せて微笑みあった。