「どうぞー。上がってね。」

翔真母はお花のついたスリッパを出して‘さぁさぁ’と広い玄関から部屋へと招き入れてくれる。

「お邪魔しまぁーす!わぁーい!可愛いスリッパ!しかもなんかいい匂い!」
クンクンっと玄関の芳香剤の匂いを嗅ぎながら元気よくあがる未茉は、玄関に飾られている写真を見つけた。

「翔真の小さい頃だ…!あ、お姉ちゃんいるんだ綺麗……」
「この頃は可愛かったわ。小さくて。」
「あははっ!確かに可愛いーかも。」
ほっこりしながら長い廊下を歩きリビングに辿り着くと、

「わぁー!凄い眺めっ!!」
はしゃぎながら未茉は窓の向こうの景色に釘つけだった。

「あれはスカイツリーに東京タワーにあっ!あれは富士山?」
「そうそう正解!」
「夜景綺麗なんだろうなぁー!」
「もうすぐ陽が落ちるから見れるわよ。」
「えっ、わぁーい!楽しみ!!」
ワクワクと未茉が足ぶみしてると、

「ちょうどね、ケーキ焼いたの。食べながら待ちましょ。」
「えぇっ!!凄ーい!!嬉しー!幸せー!!」
ひゃほぉーいっ!と人んちにも関わらずマイペースな未茉はハッと今頃気づく・・


「あれ?そういえば翔真は?」

「今ね、おばあちゃんとこに顔見せに行ってるのよ。近くのケアセンターなんだけど、いつもこの時間に帰ってくるから待ってましょ。」

「そうなんだ~おばあちゃん近くにいるんだ。」
こんなに仲良くても意外と知らないこと多いんだなって思う未茉だった。