翔真の家のタワーマンションは駅からも見えるくらいの場所にあって、方向音痴の未茉だったが、一度みんなで来たことがあったから迷わずに辿り着くも、

ピーンポーン!
スマホも繋がらないのでアポなし訪問だったが、
『はーい。』
母親らしき声がインターフォンから聞こえてきた。

「あ、こんちはー!!あたし湊翔真と同じクラスの白石未茉と申すです!!」
『あー!はいはい!どうぞどうぞ上がってきて!』
使いなれてないおかしな敬語にも関わらず、優しそうに返答が返ってくると、ウィンドーが開いてエントランスに入れた。

「うわぁぁっ!ひろーいい!!」

目に飛び込んできたラウンジ用の黒革のソファーにジャンプしながらふかふかさを確かめ、おしゃれな構造にたくさんの鮮やかな色とりどりのお花に目を奪われ、高層マンションの吹き抜けエントランスにピカピカの床をスキップして落ち着きなく辺りを見回す。

「やっぱ翔真はぼっちゃんなんだなぁ~~ぼっちゃんって感じ。」

あはははっと一人で大声で笑ってると、
「白石さん?」
ハッと名前を呼ばれて振り返るとエレベーターから降りてきた翔真のお母さんが未茉を伺うようにやってきた。