‘未茉’
名前を呼ばれて抱きしめられて心臓が暴れたことを思い出し、
「うわぁぁぁあっ!!」
女気取りの気持ち悪い自分を思い出して悲鳴をあげながら定期をなげてーードンッ!!と倒れると壁に頭を打った。
「なに暴れてんだよ!!ねぇちゃん!!早くしてくれよっ!!うっ、げぇすでにキッチンが納豆くせぇ!!今日は誰ともキスできねーよ!!」
「キ・・・キス!!?」
鼻をつまんで叫ぶ弟の声に昨日の健とのイヤらしいキスが回想され身体の芯まで熱くなる。
「うわぁぁあああっ!!!」
再び倒れ込み壁に頭を強く打ち付ける。
「なにやってんだよ姉ちゃん!!!!」
「お、おう・・・」
はぁはぁっと朝からあがる心拍数をどうにか整えご飯をよそうと、
「…そーいやぁ…」
あの時、何かを言いかけてた翔真を思い出した。
「まっいっか。今日聞けば!」
・・・・が、
「えっ!!翔真部活来てないの!?」
「そうだ。アイツ・・この前はウィンターカップ東京優勝だなんだと言っておきながらこれだよ。」
連絡もなく練習に来なかった翔真にキャプテンの橘は怒っていた。
結城達に聞いても朝起きた時からすでに翔真の姿を見てないとのことだった。