「ん……!!」

頬を押され少し開いた唇に健の唇に触れた瞬間、いつもの強気な視線の健と目があって、また瞼をゆっくり落とされると未茉は体中が熱くなった。

それは柔らかくて優しく生暖かくて、なんかどっか胸が苦しくなるような切なさが伝わってきた。

頬に触れていた片手がふわっと二人を包むように吹く風に靡く未茉の髪に触れて耳にかけながら、健の吐息が顔に触れると、また唇にそっと乗せてくる。

唇と唇が触れあった瞬間…ぴくっと震えた未茉の唇を後に引くように何度も触れては離してくも、段々ゆっくりと角度を変えて深く重ねていくと、


「……ッ…」

次第に呼吸が乱れていき、唇が塞がれる度、二人の吐息が混ざりあい、気持ちさえも揺さぶられそうで怖くなった。

「たけ…ッ」

止めることも喋ることも許されないように段々と激しさを増していき、
……腹いせのようなキスなはずなのに、唇を奪われる度に心も奪われそうになって……

無意識で回していた背中の手がさっきの翔真とは違う厚みと高さに違和感を覚えながらも、

片手で不自由なキスがまた愛しく感じたのは、唇が離れてく瞬間だった。

「ーーーッ 」

驚きと未体験のキスの激しさに足がすくみ、倒れそうになると健が軽々と抱き上げてくれる。


「好きだ。」

その時…耳元で低い声で伝えられた。