「…まさかの一回戦敗退、真っ先に会いに来た女は他の男と抱き合ってんの見せつけられて、人生最悪の夏だな。」
「真っ先に会いに来た女って……まさか、それあたしのことじゃねぇよな・・?」
「あぁ?お前どんだけ鈍いんだよ。」
「いっひゃぁあい…」
両頬っぺたをむぎゅうっと片手で掴まれながらキレられるも、
「全国に向かう時も、試合中も、優勝して夢を叶えて未茉を抱きしめる自分を信じてた。それが支えだったな。」
「おう。待ってたぜ。」
「あ?お前、どの口が言ってんだ・・?さっき男と抱き合ってた奴が言うセリフか?それ。」
「えっ!?何ちょっと待て!!!いつもみたいなハグじゃなくて、もしやまさかラブなハグ!?」
「・・・。あー。もうそのくだりいい。面倒くせぇ。」
鈍すぎる未茉に頭痛を感じ健が睨んだ後、まだ掴まれてた頬っぺたをクイッと自分の目線の方へと持ち上げた。
「俺がさっき嫉妬向きだしだったの知らねーだろ?」
「さっき?」
「湊なんかにフラフラしやがってムカつくぜ。」
「いやフラフラっつーか…!!」
「否定しないんだ?へぇ。ますますムカつくな。」
いつもに増して更に強引な口調で顔を近づけてくる健は、
「キスぐらいさせろよな。バーカ。」
「!?」
頬をぐっと一瞬押さえる力が強くなると、斜めの角度でゆっくりと近づいてきて、瞼を閉じた時の健があまりにも綺麗で美しくて背筋が震えた。



