「つーか、病院は!?大丈夫なのかよ!?」

あまり目を合わせてくれなかったからか未茉は健の手を引っ張ってこっちに向けた。

「なんだよ。大丈夫だよ。」

心配なんかいらねぇよって顔でいつもの強気な顔でやっと目を合わせて笑うが、

「ムカつくな。怪我させたの誰だよ?」
「別にわざとじゃねーから。」
「だって健兄が怪我しなかったら愛知なんかに負けるわけないじゃん!!」

我を忘れてムキになってしまうのは、ずっと昔から健の全国にかける夢を知っていたからだった。
高校で前人未到の全国のタイトル9冠とる。そう断言した健が一回戦敗退なんか考えられなかったからだ。


「エースなのに怪我してしまう体っていうのが、自分の準備不足ってことだよ。」
「そんなことねぇよ!!すげー頑張ってきたじゃん!!誰よりも!!」
必死に擁護する未茉を見て翔真は伏し目がちだった。

「分かった。分かった。ありがとな。っーか、じゃ今度はこっちが聞く番だが。」
「は?」

「なんでお前は親の留守にこんなに男を連れこんでんだ?」
腕を組み若干ひきつりながら健は聞き返す。

「しかもお前・・」と言いながら翔真を横目で見るも、健は呆れて言うのをやめた。