「おかえりなさい。星河さん。」

この状況で何事もなかったかのように迎え入れ、この状況も受け入れる翔真。


「健兄……え!?」

健の急な帰宅にも驚いたが…

「怪我!!?どうしたの!?」

肩から肘まで固定され包帯でグルグル巻きにされた健の姿に未茉は驚きと動揺を隠せなかった。


「ああ。怪我して一回戦敗退。」
「怪我してって…健兄が一回戦でって…」

去年個人MVPまでとって全国優勝連覇がかかっていた王子学院がまさかの初戦敗退に…さっきまでのことがすっかり頭から消えてしまう程の衝撃だった。

「ああ、油断したな。」
もう終わったことのように話し、慣れた手つきで冷蔵庫を開けて飲み物を取りだしてリビングに健は戻ってくとすかさず未茉もそのあとを追う。


「ねぇーちゃん!健兄がみやげいっぱい買ってきてくれたぜ!!」
‘わぁーい’と喜ぶ和希に満足そうに微笑む健に、

「ねぇ!!初戦の相手どこ!?」
「愛知だよ。」
「愛知って愛知のどこ!?」
「名古屋第一高校」

愛知の強豪校だが健がいる王子が負けるような相手じゃないと思うともどかしさからか、現実を受け入れられない。

腕には、未茉があげた験担ぎのリストバンドをしたままだった。