「東京総体予選お疲れ様ね!あ、僕は週刊バスケットの記者の者で、あ、こっちはカメラマンの…です。」

「はぁ。」
そういえば会場でも取材されたような顔に名刺を渡された未茉は二人に面倒くさそうにため息つくと、

「湊君と白石さんは会場でも仲良さげだったよね。付き合ってるとか!?だったら絵になるなぁあ~~!!」
カメラを向けられると、

「ご想像にお任せします。」とさらりと笑顔で翔真は質問をかわすも、

「おい!じじい!!勝手に写真撮ってんじゃねぇ!!」
ぶちギレながら未茉は今にもカメラをへし折りそうな勢いに、

「まあまあまあ!!白石白石!!明徳は今や強豪高として認識されてるんだ。来年からは強豪中からのバスケ入部希望者が殺到するだろうし、それによってどんどん練習試合や遠征も増えるし、高校からも予算も増える。いいことばかりだぞ!?」

「練習試合…遠征!?」
「そうだ!予算増やして合宿行ったりとか!!功労会で焼き肉行ったりとか!!」
「焼き肉ぅ!!?」
未茉の目は一気にキラキラと輝き、
「おっしっ!!じゃおっさん!!この天才美少女撮っとけよ!!!」
エッヘン!!と偉そうにポーズを取る。

「いや、お前・・自分で美少女とか天才とか言うな・・・炎上するぞ・・」

単純な未茉に結城は呆れてる横で、邪悪な念を察知したキタローは斎藤の方を横目で見ると、

(うはははーっ!!これでタダで全国に向けての婚活ができる!!
強豪高を率いる安定公務員のワタシの宣伝が!!SNSにはデートのお誘いDMが殺到しちゃうかも!!)
うっしっしっしとにやけ顔が止まらない教師を見て呆れる・・・。



「ではまず新生明徳ねっ!!じゃーまずは両キャプテンの写真いいですかー?」
カメラマンが橘と前原を呼んで並ばせると、

「えっ、前原さんがキャプテンなんですか!!?」
思わず‘ゲッ’とした顔で未茉が言うと、

「まずあんたには退部届けの書き方教えるけど。」
前原は冷たい視線と口調で答えた。

「うわっ・・」
(三年が引退してあの孤立集団の二年が中心チームかぁ……しかもキャプテンは前原さん……
うわ・・ゾッとするぜぇ!!)
あまりの前途多難具合に身震いが止まらない未茉であった。