(てか、なんだこれ…。)
いつも翔真と抱きついたりしてんのになぜか抱きつかれたくなかった不思議な違和感に襲われた。
それは、胸を異常な早さで叩く心音のせいだった。
急にお皿を持つ手が震えて、動けなくなった。
手をふりほどけない。
ーーーージャーッ……
蛇口から勢いよく流れる水音が余計に心かき乱されそうになる。
「マジで翔真離れろ。」
「やだ。」
「やだじゃねぇ。殴るかも」
「いいよ。」
少しキツイ口調で言ったのにも関わらず、翔真はゆっくり目を閉じて、少し屈んで未茉の頭部に唇を押し当てるようにキスしながら、
「未茉。」
「……!」
ビクッ……と初めて名前を呼び捨てされたその甘く響く声に反応したのと、同時くらいに
「うわぁぁぁ!!!殺られたぁぁあ!!!」
リビングからは和希達がゲームの爆発音と共に床に寝そべて大声で悲鳴をあげる声が聞こえてきて、
ピンポーーン……
「あ、誰か来た」
バタバタと騒がしく玄関の方へ走ってく和希の声と足音が遠くなってく。



