「それにうちも今ママいないんだ~。パパと瑞希(白石家の末っ子)とインターハイ観戦に行っててさ。」

「「!!」」
「親不在……ってことは……二人きり……!!?」
恐る恐る結城と三上は尋ね、翔真は真っ青な顔して頭を抱えると、

「よ……余計に行けるわけねぇだろうがぁぁあ!!!アホかぁぁぁあっ!!!」
再び真っ赤な顔して最大の声量で叫ぶ結城に、

「和希いるぜ。アイツも部活だしさ。」
「あ・・・いや、そういう問題じゃねぇ!」
‘やれやれ’と変な汗を拭いながら一瞬にして疲れた結城は座った。

「昨日和希が食べたいって言うからコロッケいっぱい作ったんだよ!食べに来ればいーじゃん!」

「え、未茉ちゃん料理できるの?」
なんとなく想像つかなかった翔真が少し驚きながら聞き返す。

「作れるよ!カレーとシチューとハンバーグとコロッケだけ!」
似たようなメニューなら任せなさい!と笑いながら胸を張ると、

「行く!コロッケ食べる!」
目をキラキラと輝かせて手をあげたのは結城ではなく翔真だった。

「俺も今日親いないんだ。」
少し寂しげに芝居をうつ翔真。
「そーなんだ!じゃ来いよ!」
全く気づかない未茉。
「うん。」
ウキウキして喜ぶ翔真を結城と三上は見ながら、呆れた眼差しを送る。

「お前らもくりゃいーじゃん!みんな一緒の方が楽しいし!」
「う~~~ん。」
(翔真が行くならなぁ・・。)と改めて未茉に誘われてあえてそこは悩むとこだったが、

「なぁ白石、お兄さんやお父さんのNBA時代のDVDとかある?」
三上は一人だけ興味を持つ所は違った。

「ああそりゃあるよ。いっぱい」
撮り貯めが趣味のママなのでバスケのDVDや動画は山程ある。
「俺行こうかな。見たい」
珍しく三上が少し興奮気味に言うと、
「そりゃお宝だな・・・じゃ俺も行くかな」

なんやかんやで結城がそう返事をした所で、部活後に三人が未茉の家に来ることが決まったのであった。