「うちらが思うより天才っていうのは辛いんじゃない?」

「……一緒にプレーしてて前原はそう思うの?」

「さぁね。でも助けられた。あのうざいくらいのひた向きさは嫌いなはずなのに、気づくと勝手に引きずりこまれてく。」

これから一緒にプレーすれば分かるよと前原はそう言うと矢野はただ黙ってプレーをする未茉を見つめていると、


「未茉ちゃん。未茉ちゃん。」

そこへ翔真がニコニコしながら女子のコートへやってきて手招きする。

「ん?どうしたの。」
手を止めた未茉は翔真の元へ向かうと、

「見て見て。ユニフォーム6番ゲット!」
三年が引退したので譲られた背番号に嬉しそうにクルッと振り向いて未茉に見せ、

「ほんとだ!6番!」
「6番、お揃いでしょ?」

女子はキャプテンの4番以外はレギュラー組が好きな背番号を選べる。
未茉は昔からパパがNBAで着けていた6番を明徳でもつけることにすると、翔真も便乗したようだ。


「でも順番的に男子は二年じゃないのか?」
「うん譲ってくれた。」

(本当は奪いとられたに近いが・・・)と二年の部員は翔真を遠くから見ながら思ったのであった。


「やっぱ・・あんなお気楽な奴らと一緒にバスケできる自信ないんだけど・・・」

たかが未茉とお揃いの背番号にあんなに喜べる翔真を見て、矢野は怒りで顔をひきつらせながら言った・・・。