「ありがとうございました~」
朝練に向かう午前8時、未茉はふらふらになりながら学校へ向かう途中のコンビニから出てきた。
「あっちぃ~~~!!!なんなんだこの暑さはぁ~~~!!!!」
コンビニ店内の冷房で少し涼んだ後に外へ出ると、強烈な湿気と共にジリジリとした陽射しと灼熱の暑さに買ったアイスもだらだらと溶けていく。
「ほとんど溶けたじゃねーか!夏のバカ!!」
と太陽に叫びながら暑さでぽたぽたと地面に垂れてくアイスを見てると
「当たり前じゃない。」
後ろから冷たい声が聞こえて振り返ると、明徳のチームジャージ姿の部活に向かう前原だった。
「前原さん!!」
バスケ部のバッグを持った前原を見て、
「朝練に来たのか!?」
未茉が嬉しそうにひょこっと顔を覗きこみ、腕を掴むと
「手、ベタベタするんだけど。」
「あ・・・」
アイスが垂れた手で握ると当然前原に嫌な顔をされ、スタスタと前を歩いてく。
「よかった。」
後ろから未茉の微笑む声が聞こえると、前原は思わず微笑んでしまった口元が見えないようにさっさと歩いてくと、
「鈴木さん達の分まで来年は絶対に全国行こうぜっ!」
その後ろ姿を見ながらそう叫ぶ未茉に前原は本日二度目の「当たり前じゃない。」を言った。