「えぇっっつ・・・・・!!!!」

夕日の落ちる川辺を背景にに二つの影が重なる姿を遠目から見て一人の男が絶句していた。

「ん?」
どこからともなく怒りの雄叫びが聞こえてきた翔真は辺りを見回す。

大成高校の校門前ではずっと花束とバッシュを抱えながら未茉を待っていたオギタクが抱き合う二人の姿を発見するも、

「拓哉ぁーっお前なんだよその格好!!」

先程お店で会った翔真の同中で話した木村達が大成高校に到着すると正装して花束を抱えるオギタクを指差してゲラゲラと笑うと、

「なっななんで…!!!あの白石さんの隣の男は一体……」

運命の相手だと思い込んでいたオギタクが現実を受け入れられず、悲しみの頂点に達したオギタクはそれでも二人の元へ向かおうとしたが、

「アイツ、湊も中々の男だぜ。」
木村は遠くの二人を親指で指差しながら、スマホを広げて見せて言った。
「あの二人は仲良く東京のバスケ界の新人王だって。」

「拓哉ー。確かにあの子可愛いけど、お前ならもっといるじゃんー。」
「いない!!確かにビビッと来たんだ…今までどんな女の子見ても思わなかったのに…!!るりちゃんのような女性は現実世界にはいないと思ってたんだ!!あの日まるで次元を飛び越えたような出会いに俺の胸は確かに高鳴り…!!」

「「・・・・」」
手に追えない激しい妄想に一同はあきれ果ててものが言えない・・。

「絶対確かにあの子なんだ!!俺の運命の相手は!!」

「いくらお前がサッカーの天才でも、あの雰囲気に入っていけるとは思えないけど。」
「……!!!」


それは二人をよく知らないオギタクが見ても、未茉が心を許すように身を委ねる翔真もまたそれを愛しそうに抱き寄せる姿に、

奪える勇気も持てない敗北感だった。