「ほんとだ。未茉ちゃん大きい。」
「190ってこの高さ?!やべぇっ!!そりゃダンクできんな!!」
「うん。」
「翔真の目線っていつもここなんだね。」
「ん?うん。」
未茉は翔真と頭の高さを揃えながら周りの景色を見下ろす。

「そっかー。見上げる方はいつも翔真の顔見えるけど、見下ろすほうは見上げてもらえないと顔見えないんだね。」

「…そう」
そんなことに気づくんだって思うとおかしくてクスッと翔真は笑って、
「だから顔を見せてよ。」
同じ高さの未茉の肩に手をかけて言った。

「いいよ。」
と言って未茉はとっておきの変顔を披露すると、
「あははっ。なにその顔!」
「翔真もやって!」
「えー。」
と渋る声をだすも結構ノリよくやると
「あははははっ!!」
未茉は大爆笑して抱きつくように翔真の肩に寄りかかるように手を回すと、

「同じ目線、いいな。」

そう笑って翔真も未茉の腰を支えるように手を回しておでこをくっつけながら目線を合わせ、


「笑顔が近いともっと嬉しくなる。」

両頬に手をあてながらその笑顔を確かめるように未茉はゆっくり瞬きをした。

「うん。」
初めてちゃんと真っ正面から見た翔真の笑顔に、その目に映る自分をそれ以上凝視できなくてなぜか無性に隠したくなって、

ギュッとそのまま抱きついた。

「恥ずかしいの?」
顔を隠すように抱きつかれ風で靡く未茉の髪を撫でた。
「ん。」
「え、ホント?」
翔真は思わずその顔を見たさに首を傾けるも、
「なんか眠くなってきた。」
「え・・・。」
コテンと体重がかかってきて、未茉が顔を動かすと、瞼をこすりながら、

「翔真といると安心する。」
「安心して眠くなるの?」
「おう。」
へへっと笑う未茉に複雑だが、翔真は微笑む。