翔真が連絡を取ってくれて大成高校でオギタクと落ち合う約束をし、駅へと降り立った。

「おお、練習試合の帰り道ここでハンバーガー食ったな!」
「うん、確か俺の練習試合の後だったね。」

二人はいつかの川沿いを歩いていくと優しく吹き抜ける風に未茉は顔をあげながら、
「よっ」と石畳の上に上がり両手でバランスを取りながら歩き出した。

「しかし前原さんよかった!バスケ部辞めなくて!」

「うん。未茉ちゃん前原さんのこと慕ってるもんね。」
「嫌われてるけどな!」

「…そんなことないよ。」
大成戦の決勝のハーフタイムの時に前原の方から歩み寄って聞いてきた時、翔真は誰よりも未茉を信頼してるのは前原だと思った。

「素直になるのが難しいだけだよ。」
「えっなんで。素直にならない方が難しくない?」

「……うん。ははっ。」
きょとんとする未茉らしい答えに思わず笑ってしまった。

「橘さんってやっぱり優しいんだな!!あんな風にずっと探しててたなんて」
「でも多分前原さんには特別にね。」
「そうなの?わっ。」
「と。」
前しか見てない未茉が足を踏みはしそうになると翔真が腕を伸ばし支えてくれる。

「同じ目線ー!新鮮ー!」

石畳の上に立つ未茉の自分の目線に、いつもは見上げないとならない翔真の目線があることが不思議な感覚だった。