「オギタクの奴、昨日からイッちゃっててこの状態だよ。アニメの見すぎなんだよお前は、」

幼い頃からボールばかり追っていて、女の追い方は分からず、三次元の恋に関しては疎く激しい妄想気質なところがあり、その年でも運命の出会いを信じている彼に部員達は呆れた顔で目配せする。

「るりちゃ…いやっ!白石未茉さん……」

部室の窓に降り注ぐ夏の太陽のように目映いその笑顔を思いだしながら遠くの空を見つめながらその名を何度も口にし、呟いている。


「話聞くには相当可愛くてツンデレだって?お前なら芸能人とかいけるのに何も一般に行くことねーじゃん。」
「なぁ、どーする?実は超ブスだったら」
ゲラゲラと面白おかしく笑い出す部員達を無視してると、

「ん?拓哉が持ってるのってバッシュだよな?バスケの。」
一人の部員がそう覗き込んだ。

「え…バッシュ…??」
てっきりスニーカーだと思っていた拓哉はその言葉に顔を上げた。

「その子、バスケ部なんじゃね?」

(高校バスケ……)
手がかりがつかめて、目を輝かすと
「バスケ部の連中に聞けば、分かりそうだけど今インターハイだしな。」
「つーか、名前知ってんなら、SNSで調べてみれば?」
部員達は面白半分で朝から虚ろげに何度も口にする未茉の名前を検索してみると、
「「「え・・・」」」
みんなが画面を見てフリーズした。



「おいおい・・・拓哉、そのツンデレラ、マジ運命の相手かもな…」