荻山拓哉。

彼は16歳ながらに幼少期からその才能が認められイタリアのスーパー名門の少年サッカーの一部リーグのチームで活躍し、将来はセリエAでのプレーがほぼ確定している日本中が注目する天才プレーヤーだった。

日本では、別世界ながらも桐生嵐と共にすでに日本代表にも声がかかる程の実力者で、若き天才プレーヤー同士のCM共演などをしていた。


そんな彼が日本にいる時の進学校・大成高校は、バスケだけではなくスポーツ強豪校としても有名で特にサッカーは全国優勝をする程の高校だった。


「なんだよー。荻山ー!イタリアから帰ってきたと思いきや、こんなとこで寝てんなよ~!」

サッカー部の部室では、久々にイタリアから戻ってきた彼が無気力に遠くを見つめる姿に部員達が声をかけてく。

「今恋煩い中…」
「は!?」
「イタリアでいい女の子でもできたんだろ!?あ、それかCMで共演してた女優か!?羨ましすぎだろ!!」

妄想先走る仲間達とは裏腹に静かに拓哉は首をふる。

「拓哉の奴、なんでも昨日渋谷でぶつかった女の子に一目惚れしたらしくてその子を探してるらしー。」
大事そうに自称シンデレラ未茉の落としたバッシュを抱えながら、練習も手につかず放心状態であった。