「あ…あまりの美しさと透明度に心が…」
自分のバッグについていた推しのキャラクターキーホルダーと彼女を何度も見比べ、ここにあらずの拓哉に何があったのか不思議に思うも、
「と、とにかく騒ぎにならないうちに早く!」
手を引かれて、歩きだすも、
「ん?なんだこれ…」
拓哉の目の前に落ちてるバッシュの片方を拾うと、

「あっ…!!」
そのバッシュはさっき未茉が抱えていた靴だと気づき空の太陽の光へと高々と翳す。

「こ・・・これは彼女の・・・!!!」

前方を見渡すがもうその姿はない。


「シ……シンデレラだ……!!!」

そしてこのシチュエーションにそう脳内では結びつけられてしまう。
「名前だけ名乗って…魔法が消える前に急いで消えた…まさにシンデレラ…」

「はっ・・・!?」

「そして俺は、あの人の王子、萩山拓哉だったのか…!!!!知らなかった…この自分の生まれてきた宿命に……!!」
なんてことだ…と我が全身を震わせながら自分の生まれてきた意味を問いただす拓哉に、


「あー…イタリア帰りで最近仕事いれすぎて頭おかしくなったかな・・・」
そんな拓哉を冷めた視線でマネージャーは送ると、

「どこへ消えたんだ!!未茉様を乗せた馬車は!!?」
カムバッーーク!!と白昼の渋谷で演劇を始め、キラキラと目を輝かせ未茉に運命を感じる萩山拓哉はすっかり魔法にかけられてしまい、


「僕のシンデレラ…この広い地球のどこかにかぼちゃの馬車に乗って消えてしまった未茉様を必ず見つけ出してみせる!!!」
黄昏ながら車に乗る拓哉をファンの女の子達はかなり引き気味で見つめていた・・

「なんかハギタクやばくない・・?」
「サッカーしてる時はあんなにかっこいいのに・・一気に冷めたわ・・・。」