「あ……あのおっおっおれ…萩山拓哉」
「あ?!何いってんの?」
動揺と緊張のあまりうまく喋れないその男に未茉は背伸びして耳を近づけて聞き返すと、
(意志が強く、気性が激しく荒々しいところもるりちゃんにそっくりだ…!!)
自分が推しているアニメの世界から飛び出したかのようにあまりに類似してる彼女に、
「はっ…萩山拓哉…と申しますっ!!!」
興奮と緊張のあまりぜぇはぁぜぇはぁと息をあらげながら周りの人が振り向くような大きな声で自己紹介しだす萩山拓哉。
「えっ…ちょっとあれ、オギタクじゃん!?」
「嘘ー!!CMの!?天才サッカー少年でしょ!?」
辺りの視線とざわめく声にも気づかないまま、
「萩山拓哉な!」
「はっはははい!!ぜひ存じ上げて頂ければ嬉しく……」
「へぇー。いい名前じゃん。名前負けしてんじゃね?」
「ええっ・・!!」
「嘘だぜ嘘!!」
ケラケラとさっきまでの睨みっ面が嘘のように未茉が突然笑い出すと、
(か・か・かかわいい!!!!)
思わずあまりの可愛さと目映さに茫然としてると、
「あたしは白石未茉と申します!!」
拓哉の真似をして大声で自己紹介をするとなんだなんだ……とまた周りの人が振り向くが、
「しししし白石未茉さん………」
拓哉が嬉しそうに覚えるように復唱してると、
「おう!じゃーまた会えたらな!萩山っ!」
未茉が手を振り急いで走ってくと、
「えぇ……あの……!!」
もう少し話したかった拓哉が伸ばす手も虚しく、未茉は走り去ってく。
「悪い悪い!!お待たせ!!拓哉、車裏につけてあるから、走れるか?!」
いつの間にかファンに囲まれていた拓哉にマネージャーが駆け寄ると、
「おいっ!!ってどうしたんだよ!!」
三次元・るりちゃんを見た拓哉は魂が抜かれてしまったように動けない。



