「うっひよぉおおーーいい!!新モデルのバッシュゲットっ!!!明日みんなにみっせびらかすぜぇええっ!!」
未茉は人目もはばからずウキウキしながら大事そうにバッシュを抱えスキップしながらお店から出てくると、

「環境に優しい女は箱なしだぜぇ!!」
ビニールから片方のバッシュを出しぶちゅっと濃厚なキスをすると、

ハッ!!
「やっべぇーー!!当初の予定を忘れるとこだった!!!」

前原の家に向かうことをすっかりニューバッシュ・ハイで忘れてしまい、急いでクルッと目的地へと引き返すと、

「きゃああああっ!!拓哉くん!!」
「どこ行ったのぉお!?」
大声で騒ぐおっかけの女の子達の声に囲まれながら裏口から出てくる男と、ちょうど通りかかった未茉と

ーーードンッ!!!

「イッテェな!どこ見て歩いてんだよ!!!」

正面衝突し、倒された未茉は睨んでキレると、


「…あ、ごめ…わぁわ、わ、わわわわわ!!!ああすっすみません!」
見るからに気弱そうで腰の低いその男はあたふたしながら不機嫌な未茉に平謝りすると、

「お前!ちゃんと前向いて歩けよなっ!!」

自分も悪いはずなのに完全なる被害者面で、パンパンッと手を叩きながら未茉は汚れを払い立ち上がり顔をあげると、彼は衝撃を受けた。

「あ?何、どうした?まさかそっちが怪我したとか?」

急にフリーズし白目を向いてるその男に未茉は険しい顔で尋ねると、

「あ?お前。このビルのポスターの…」
嵐と一緒に映ってるその男を確認するように間近で顔を覗き込むと、

男は落雷が体に打たれたような衝撃と共に全身が一気に真っ赤になった。

というのも、彼の大好きな二次元アニメのキャラクターに未茉はあまりにもそっくりだったからだ。