橘から聞いた前原の家の住所をスマホナビを便りに未茉は一人で渋谷の方へ来ていた。

「昼間なのにすっっげぇ人だなぁ!!」

夏休みに入っていた渋谷は陽気な若者で賑わい、久々に降り立った都会の中心渋谷に目を輝かせていた。

「渋谷なんかに住んでるなんてどんだけお嬢だよっ!!!前原さん家って!い~なぁっ!!」

有名なデパートや繁華街を見上げながら、未茉は
「うおっ!!タピオカうっまっそぉぉお!!!」
行列ができているタピオカ店にちゃっかりと並びだす。
「フッフッフッ…昨日パパからバースデープレゼントだって一万円貰っちゃったからね!!」
いつもは小銭しか入ってない空の財布には、キラキラと光輝く福沢諭吉が君臨していて、

「あ、お姉さん!!このタピオカラテスペシャルLサイズにホイップ増量に、あっ、前原さんの分も二個なっ!!」
周りの異様な視線も無視して大声で注文する。
「二つで1500円です」
「たっけぇえっ・・・!!!」


「やっぱ都会ののみもんっつーのは、たっけぇんだなぁ!!」
ちゅるちゅるーっとタピオカを口の中で噛みちぎりながら、歩いてくと香ばしい匂いが鼻につき、クンクン…とその匂いの方向へと誘われて勝手に足が歩きだす。

「うおっ!!!クレープだ!!!うっまっそぉぉお!!!!」
焼きたての生地の匂いと、甘い匂いに誘われ気づくとクレープ屋の行列に並んでいて、
「あ、お姉さん!イチゴスペシャルとチョコスペシャル二つ、アイス大盛で!!」
「1700円です。」

「たったけぇっつ!!!」