屋上のフェンスに寄りかかりずっと黙って聞いていた翔真は初めて口を開いた。

「未茉ちゃんが憎いというより、本当はコンビを組む前原さんが離れていきそうで矢野さんは寂しかったんじゃないかな?」

「……え。」

「未茉ちゃんのバスケって見てる人を楽しくさせるっていうか、虜にさせるっていうか……うん。最初はその気はなくても前原さんも一緒にやってくうちに未茉ちゃんのパワーやプレーに魅了されて引き込まれてったんじゃない?」

「ああ。分かるな。その気持ち。」
橘がそう納得すると、三上も同じように頷き、結城は「まぁーなー。」と照れくさそうに視線をそらす。


「そうかなぁ?やめてよー照れんじゃんかっ!!」
思いがけない誉め言葉に顔に蒸気が立ち込めるよう未茉は頭をポリポリしながら照れる。

「うん。それは矢野さん達とも一緒にプレーしてけば、未茉ちゃんのこと認めてくと思うよ。時間はかかっても。」

バスケでもそうだが、不思議なことに翔真がそう言うと本当にそうなっていくようで不思議な説得力がある。

「ん。サンキュー翔真。」
未茉がそう笑顔で礼を言うと、
「どういたしまして」とペコッと軽く頭を下げる。

「んじゃまっ!あたしは前原さんのとこ行って辞めるのやめるように説得してくるよ!!」
拳に力をいれて、すくっと立ち上がると、
「アイツ今日休んでんだよ。」

「えぇっ!?」