「可愛いくて才能あればそうやって男も味方になってくれるから本当に得だね。あんたなんかさ、本当は大成みたいな強豪に入学して負けるのが怖いサラブレットなんじゃないの!?だからーー」
「いい加減に……」
結城がそういいかけた時、
「好きなだけ言ったらいいよ。矢野さん。」
未茉は口を開いた。
「パパとの約束でコートの上では喧嘩しないって決めてんだ。だからあたしはここでは何を吹っ掛けられても怒らねぇ。」
「…!」
「だけど前原さんには謝れよ。」
「……!?」
「友達だろ!?仲間なんだろ?そんな言い方ねぇだろ!!友達なら仲間ならどんな状況でも気持ちは同じなんじゃねぇの!!?」
その突き刺さるような言葉に前原も顔をあげた。
「……いいよ。もう。」
「前原さん…」
「事実、私は白石とプレーすると楽しかった。」
「……!!」
前原が初めて見せてくれた本音に未茉は驚いた。
「スタメンに選ばれて嬉しかったけど一緒にやってきた二年のみんなに後ろめたかった。白石と一緒にプレーしたいと思う自分も。」
前原を支える橘もようやく素直になった彼女に驚くもどこかホッとしたのも束の間、
「足をやったとき、調子の言い自分に罰が当たったかな、と思った。
このまま辞めるべきかなって。」
「前原さん……!?」
「バスケ、辞めたら許してくれる?また…友達に戻れる?」
「「「ーーー!!」」」
前原は矢野を見上げながら尋ねた。
「…先生に渡しといて。」
すでに用意されていた退部届を自分のジャージから取りだし、茫然とする矢野に渡し、
カツン……
松葉杖を取り、前原は一人体育館を出てった。