「湊!白石!見たぜ!新聞っ!!」
「思わず新聞なんて買っちまったよ!!」

教室に着くと今度はクラスメイトが一斉に東京新聞のスポーツ欄片手に‘これこれ’と飛び付いてくる。

「何これ」
「男バスのBIG3の記事も載ってるぜ!」
‘無名高・明徳学園がまさかのベスト4!!女子は東京2位!!大成を追い詰めたのは天才美少女白石未茉’

「美少女・・?」
「疑問符つけんじゃねぇ結城!!」
その単語を疑う結城を未茉は教科書で叩く。

「BIG3と湊単独記事もこっちにデカデカと載ってるぜ!見ろよ見ろよ」
「鼻たけぇなぁー!うちのクラスから新聞にのっちゃうなんてさ!!」
「うわっ、ちゃっかり斎藤もキメ顔でコメントしちゃってるし。アハハ」

大騒ぎするクラスメートをよそに未茉は客観的に写真を見るとあんなに無我夢中で戦ってたのに、大健闘とただそれだけでなんも伝わってこないことに空しく感じていたのだ。

「…胸が痛てぇや。」

未茉は新聞を突っ返すように戻すと、
「なんで?ここまでイケるって凄いじゃん!スポーツ有名校の大成と渡り合えるなんて名誉だよな!?」
「「そーだよ!!」」

「名誉か?」

耳を疑いながらクラスメイトの言葉に顔色を曇らせた未茉は聞き返した。


「負けたことに名誉なんかあるわけねぇ」

急に真面目な顔で低い声で言い放つ未茉にクラスは一気にシーンッ……と静まり返ってしまうと、

教室の隅で静かに座っていたキタローは、ガタッ…と立ち上がり未茉を取り巻く外野の方を見て口を開いた。