「しかし、前原君がこの試合に出れないのはちょっと残念ですね。」
強豪大成戦相手に白石との絶妙なコンビネーションを見せつけた前原をもっと見たかったようで同行カメラマンも残念がっていた。

「そうだね。二年チームは矢野君、加藤君、三枝君、半田君、桐谷君か。」
‘なるほど’と記者はメモを取り始めると、


ピーーっ!
試合開始の笛を吹いた翔真がジャンプボールを高くあげた。

「二年のジャンパーはもちろん矢野君か。三年の鈴木君とセンターの座を争えるくらいの実力はあるからね。
えっと…一年のセンターは、伊東君……174センチか。え、バスケ歴三ヶ月!?」

「一年の半数は湊目当てで入ったバスケ初心者ばかりだ。」
紙を見た記者が驚く隣でキタローがそう付け足すと、
「うわぁあっ!!きゅっ急に後ろから話しかけないでくれよ怖い…」
「ニタ…」←不適な笑み。
「うわぁあああ」←鳥肌止まらない。



パシッーーーー!!
もちろん言うまでもなく、圧倒的に矢野のジャンプ力が上だった。

未茉はルーズボールを二年の桐谷と競って奪い勝ち、

「塚野さんっ!!」

ゴール前へ走り込む一年の塚野にパスをすると、矢野が前に入り込み激しいブレスをかけてくる。

「塚野さん!シュート打て!!大丈夫!!」
「打たせるかっ!」
未茉の指示にふざけんなと言わんばかりに矢野はさらに激しく体を寄せた。


(駄目だ・・・全然打てない・・・!!)
二年との初めてのマッチに緊張と焦りもあり、パスもどう出したらいいのか分からなくなり、塚野はダメ元でジャンプしてゴールへとボールを放つが、当然ながら矢野の手によってブロックされる。


「さすが矢野さん上手いな。」
ゲームを見つめる結城と三上も誰もが納得の新センターだった。
「高さでは鈴木さんの方が上だったが、あの粘り強いディフェンスは二年でも一番だろ。」