「よしっ頑張ろ!」
未茉がパンパンッ!!と手を叩き気合い入れると、

「じゃ俺、審判やります。」

コートを飛び越えてやってきた翔真は面白そうに手をあげた。

「えっ!?翔真が!?」
驚く未茉ににこにこしながら頷く。
「一年びいきしそうだな。いや白石びいきだ。」
部員達が呆れて言うと、結城は否定した。
「…翔真はバスケでそんなこと絶対にしねぇよ。白石の前なら尚更。」

「ま、いいだろう。」
女子にやらせるよりは公平だろうと思った野村は頷いた。


「よし。じゃ始めましょう。」

翔真は笛をぶら下げてジャンプボールを促すと、

「前原さん、矢野さん。」
「……」
未茉が二人を呼び止め、

「もし一年が勝ったら今後は前原キャプテンを中心に一年も一緒に練習に参加させてくれ!!」

「「な……!」」
二年達は絶対に嫌だ、無理だという顔をしてこっちを見るが、矢野は即答した。
「いいよ。じゃこっちが勝ったら?白石、あんたのスタメン落ちにする?」

「「ーーー!!」」
「なっ……なんてことを!」
さすがに記者も、監督も立ち上がって意義を申し立てる。
「矢野!!それはいくらなんでも駄目だ!!!白石は絶対にスタメンからは落とせない!!」

「冗談ですよ。」
さすがの矢野もそれは分かっていたが、それだけ擁護されるのは面白くなかった。
「じゃ今後二度とうちらに口出しはしないで。スタメンだろうがなんだろうが私達はあんたを仲間だとは認めない。」

「分かったよ。」

ボールを回しながら未茉はフンッとため息混じりに強く頷き、


「いいぜ!!スタメン落ちで!!」


「ばっ…」
「「「白石!!?」」」
一同は言葉を詰まらせながら絶句するも、当の本人は真っ直ぐな眼差しで言い放った。


「お望み通り、勝てなかったらスタメン降りてやる。」