「白石だ……」
「うわ頭の包帯痛そ……」
「バスケ部男女共に凄かったらしいぜ!総体予選。」
「らしいな!YouTubeとかSNSとかにもアップされてて凄くね?!!」

朝練が終わり教室へ向かう廊下では、未茉の怪我は見せ物のようにすれ違う生徒達の視線を集めた。

「白石さんっ!土曜の試合観に行ったよ。本当に感動したよー。」
「おーありがとー」
次々に生徒達が集まってきて、‘お疲れさん’と声をかけてくれたり、
「ねー!白石さん一緒に写メとろーよ!」
「ストーリー乗せていい?」
今まで話したことない女子から誘われたり、

「ねぇねぇバスケってさー」と興味を示してくれたり反応は大きく、

「白石よかったら今度一緒にバスケ教えてくれない?」

「おーいーよ。」
「やった!じゃライン教え……」
と男が言いかけると頭上からムスっとした翔真が無言の圧をかけるとスマホを引っ込め逃げるように離れていった。

「?なんだあれ」と未茉は首を傾げると、
「「・・・。」」結城や三上は呆れて二人を見てる。


「油断も隙もなくなるな。」

翔真がそう迷惑そうに呟くとどさくさに紛れて未茉の手を取り指先を絡め手を繋いでくる。

「なんだよ急に」
と顔をあげるも指先は強く握りしめられていてびくともしなかった。

「ちょっとぉ見てっ」
「あれっ」
ざわざわっ…と一斉に廊下にどよめきが走るも翔真は平然と堂々と歩き出すと

「なんだやっぱ付き合ってんじゃん。」
「やっぱりか。」
諦めるようなため息が飛び交うも交際宣言のようなその光景に更に生徒達の視線は釘つけになる。


(じれってぇなぁ~早くくっつけゃいいのによー)
結城はこの誰も寄せ付けない雰囲気に頬を赤く染めながらも耐えて教室に向かった。