「翔真は不可能なことは絶対に口にしないからな。楽しみだな。」
水筒を飲みながら隣にいた未茉もその宣言を面白そうに笑い、練習に戻ってくと、
「あっ…白石君も取材撮影……!!」
と記者が後を追いながら言いかけるも、
「ほらっそこもっと腰下げて投げて!」
慌ただしく未茉は1年の指導に戻ってしまった。
「明徳高校……かーーー。確かに東京切ってのダークホースだな。」
(予選では誰も予想だにしなかった番狂わせだった。接戦とはいえ、あの王子に勝利したのだから。来年は確実に東京優勝候補間違いない。)
「確かに湊君を中心に男子はよくまとまってるな。」
練習風景を写真撮りながら記者は確信した。
東京はスター兄弟の兄の健を越えるプレーヤーは出てこないだろうと言われてるが…ある意味楽しみだな。記者は胸が高ぶらせながら、次は女子に目をやった。
「あれ、女子は一年と二年別々に試合してるんですか?」
「ええ…。まぁ正確に言うと、まだ女子はうまくチームが作れてないというか……」
戻ってきた記者に聞かれギクッとした野村監督は言葉をは濁した。
二年が未だに一年と溝があるなんて記者には言えなかったからだ。
「桐谷!もっと前出て!!」
「そこ下がって!!」
二年は特に矢野を始めプライドの高い選手が多く、スタメンの空きの三席を狙う高校生活最後の年の二年は激戦を勝ち抜こうと一年など寄せ付けさせない激しい練習で孤立していた。



