「セーフッ!」
誰にも気づかれず未茉はサッと席に着き小声でガッツポーズをする。
「何してたんだよ。お前」
隣の結城が呆れたように小声で尋ねると、
「早乙女を見送ってたら遅くなっちゃってさ~。」
「!!」
聞き捨てならないその言葉に翔真は直ぐ様反応した。
(香水を付けて早乙女と会う・・・?
しかもまさか誕生日夜からじゃないよな・・)
「いつから会ってたの?なんで会ったの?」
すかさず未茉の背中をコンコンと後ろから叩き問いただす。
「なんだよ。なんかお前の笑顔怖・・」
「質問には5秒以内に答えようか?未茉ちゃん。」
シャーペンを片手で回しながら肘を付き、未茉に微笑みながらも尋問を始めた。
「今日の朝だよ。あーさ。」
ふぁぁあっ……朝早かったからねみぃー。と大あくびしながら猛烈な眠気に襲われるも、
「なんで会ってたの?」
真後ろからは追求の眼差しと質問が容赦なく飛んでくる。
「誕生日おめでとラインが来て……インターハイ行く前に会いたいって……グウッ」
いい天気の日射しが窓側に降り注がれるも、クーラーがよく効く室内はすぐに眠気に落ちる中、
「へへ……」と未茉は幸せそうに思いだし笑いをしたのだ。
「うわ・・なんだコイツ!寝ながら笑ってやがる気持ちわりぃーな」
隣で奇妙な笑い声を溢す未茉に結城はドン引きすると、
「優勝したら俺のもんになれよ!ぐふふふ……」
凛々しく眉毛に皺寄せて健の言い方を真似ながら自分でリプレイして思いだしニヤニヤしてると、
「えっ。待って何それ。誰に言われたの?」
翔真は思わず未茉の背中を強く揺すられるもその振動も心地よさそうに未茉は深い眠りに落ちていくと、
「誰に言われたのって!」
ーーガタッ!!!
いても立ってもいられなくなった翔真は思わず立ち上がって問いただす。
「何やってるっ湊!!!あ、こらっ!!白石っ!!何寝てんだっ!!・・ん?お前いたか?」
「・・あの野郎・・・。」
新米に怒られるも、怒りで震える翔真の早乙女への嫉妬は止まらなかった。