「僕の夢は、ずっと憧れと共に焦がれてきた白石さんにいつか胸を張れるプレーヤーになること。今のこんな自分じゃ振られるのは分かってる。…振られても構わない。」


「……」
握られてた早乙女の手が小刻みに震えてるのが分かった。


「でもいつか、僕が夢を叶えた時にもう一度、告白させてくれませんか?
たった一つの望みだけ、僕に残してくれないかな?」


こんな一生懸命でひたむきな想いを頭を下げて自分に向けて言ってくれるなんて、世界中どこを探してもいないんじゃないかと思える程だった。



「おう。ありがと。」

未茉のお礼に早乙女はゆっくりと願うような顔をあげ微笑んだ。

「こんなにこんなに嬉しい告白を貰ったのは、あたし生まれて初めてだよ。」

緊張からか赤い顔とは裏腹に彼の冷たい指先をギュッと握りしめながら……

「あたしも早乙女にそう思い続けて貰えるようなプレーヤーにならなきゃって心底思えた。」
「白石さん……」
「それなのにこんなに心のこもった告白を受け止められなくてごめん。」


「…とんでもない。僕の方こそ本当にありがとう。」

少し潤んだ目の早乙女は隠すように首を振って微笑んだ。

「うん!インターハイ頑張れよっ!早乙女っ!」
バンッ!!と勢いよく背中を叩かれよろめく早乙女だが、インターハイへ最高のスタートが挑め幸せそうな笑みを溢したのだった。



「あ、そうだ。静香から手紙を預かってるよ。」

「え!静香からか!?何々……」
早乙女から手渡された手紙を広げると、


【未茉へ。
インターハイやで。羨ましいやろ?誕生日プレゼントはうちの活躍を見せることや。どや最高に嬉しいやろ?】


「なんだこの手紙・・・捨てていいのか?」
「・・・・」
汚い字でウザい内容の手紙を破り捨てたい親友からの手紙であった。