「とにかくなんだ……」
匠が十年間も気づかないふりをし続けた気持ちをまさか打ち明けるわけにもいかないのでなんとか言葉を選んだ。
「お前はさ、変わらない。」
「は?」
「変わらない所が未茉のいいところなんだ。」
「……うん?」
「でもお前が変わらなくても周りがお前をみる目が変わってく。分かるか?」
「・・・全然っ。」
ズコッとずっこける健は、これ以上この天然記念人に何を言っていいのかも分からなかったが、
「男はな、エロ動画を好む 。」
「うわっ、健兄の口からエロが出てくるとは思わなかった!」
「思春期の男は盛りついたオスだ。」
「ああ分かるぜ。あたしの周りにも何人もそんな男がいる。」
‘うんうん’と頷きながら腕を組み、まず禅の顔を一番に思い浮かべた未茉。
「だからお前がその気がなく抱きついてもお前の体を意識してる奴もいるから無防備に男にはもう近づくな!抱きつくな!」
「ん・・?じゃ匠兄はあたしの体を意識してると?」
「まぁ、そうだ。匠に限らず全世界中の男がそうだ。」
(言ってよかったが分からんが・・・)
「えー!なんか信じらんない!一緒に何回も風呂入ったのに!!」
匠はパパと同じような存在なのに、禅と匠が同じ部類に入るその話は信じがたい違和感しかなかった。