「ありがとな。兄ちゃん嬉しいぜ。」
ギリギリのとこで理性が勝利した健は兄の顔に戻り、可愛い妹の頭を撫でた。

「静香の分と早乙女の分も三人分祈ったよ!」
「早乙女の分って。アイツ敵じゃん。」
「あ、大丈夫!マイクの分は祈らなかったから当たっても王子が勝つよ!」
「なんだそれ・・。なんで早乙女が出てきた?」

「これから会うんだ。」
「え?なんで?」
渋い顔をする健はもしや・・・と思いながら尋ねる。

「会場行く前に会いたいって昨日ラインがあってさ。ふぁっ」
あくびしながら答える未茉は、もちろん何も分かっちゃいないんだと思った健はひきつった表情を浮かべた。

「どこで会うんだよ。」
「朝練行く前だから駅って。」

「・・・。てかさ、お前本当に鈍いから俺が言うけど」
「なぁー健兄。匠兄さ、やっぱあたしのこと嫌いなのかな。」
「あ?急に話を変えるな。」
「ごめん。だってよー」

「……」
(そっか。やっぱり昨夜なんかあったのか。…たく。色々面倒だな・・・)

「匠とは何があったんだ?」
「んー。香水貰ってありがとうして、昔話になって匠兄が寂しいんじゃないかとなぐさめようと思って抱き締めてたら急に振り払われて、あたしのこと本当はあんま好きじゃねぇのかも。」


「・・・・!」

(あー頭いてぇ・・・。同じ双子だから匠の心理が手に取るように分かるぜ。こんな下手な説明でもよぉ・・・。)