早乙女からのラインに気づいたのは、翌朝だった。

【白石さん。お誕生日おめでとう。16才が素敵な一年でありますように。】

【明日インターハイに向けて出発します。急なんだけど朝、少しでも会えたりしませんか?連絡待ってます。】

「ふぁっ……」
翌朝早朝、あくびしながらスマホを見て、早乙女と連絡を取り家を出ていくも、未茉が向かった先は近所の神社だった。

まだ夜が明けたばかりの朝、小鳥が囀ずる頃、
「おりやぁあっ!神様ぁ!!」
カランカランッ……!!
力一杯神社の鐘の綱を引っ張り鳴らしてパンパンッ!!と大きく手を叩き、

「神様神様~~~~~!!!!」

目を閉じて大きな声でお願いしてると、


「お、未茉」

神社の階段を登ってきた健が背後に立っていた。

「健兄っ!!」
「おはよ。」
「おはよ朝早くない?」
「お前こそだろ。俺は寮でもいつもこの時間ランニング。そしたら神社に入ってくお前の姿みえたからさ。」

「インターハイ行く前に健兄達が活躍できるように祈っといたよ!お札も買いたかったけどさすがにまだ開いてなかったから気持ちだけなっ!」

祈りをこめた両手でギュッ!とパワーを送るように未茉は健の手を握り、数秒間目を閉じた。


強めに握った手から互いの体温が重なり合うと強さに変わるようだった。


「よし!あたしのパワーも注入したからきっと大活躍するよ!!」

未茉がゆっくり目をあけてニカッと元気よく笑うと

「あっぶねぇ……」
「へ?危ない?」
「いや。」
健はその純真さに改めて心が揺さぶられ、理性の固まりだと思ってた自分が決壊するんじゃないかと思った。

「珍しいな。自信の塊の健兄が。そんなに不安ならうちのマネージャーに祈祷でもお願いしょうか?」
「いや・・真顔で普通に言うな・・。」
なんか怖えーよと健はひきつった。