「あ、湊。」
三年の鈴木達が体育館を後にすると、水筒を部室に取りに来た翔真とすれ違い
「ごめん。先に行ってて。」と三年達に告げると、翔真の元へ行く。
「お疲れ。」
「あ…お疲れ様です。本当にお疲れ様でした。」
と労いを込めて深々と挨拶する。
「うん。」
クスクスと思い出したように笑う鈴木に対して翔真は‘?’と首を傾げてる。
「またその白石のタオルの使ってるの?」
首から巻いてるタオルを鈴木は指差すと翔真はコクンと頷く。
「報われないね~」
「…はい。」
嫌みなのになぜか優しく聞こえて翔真は嬉しそうに返事した。
「引退プレゼントに教えてあげる。」
「ありがとうございます。」
「まだ何も言ってないけど!」
「あははっ。だって間違いなく未茉ちゃんに関することですよね?」
「そっ。」と頷きながら鈴木はニヤッと勝ち気な笑みで微笑んで見上げ、
「白石のことを一番分かってるのは湊だと思ってたけど湊のことを一番分かってるのも白石だよ。」