「父が戻れば,必ず事態は動きます。ですがその前に,わたし個人としても,何かできることがあればしたいと思っているんです」
たとえ軍を動かす権限はなくても,皇女として,次期皇帝として,この女性の故郷を何とかして救いたい。――そう,リディアは心に決めていた。
「帝国はいつだって,あなた方の味方です。だって,プレナの国民は,レーセルの国民と同じくらい大切なんですもの」
それは彼女なりに,協力を惜しまないと宣言したようなものであった。
「ありがとうございます,姫様!」
おかみはリディアの手を両手で握り,額をこすりつけんばかりにして頭を下げる。
(わたしが,この人の故郷を救わなきゃ!)
リディアの表情は,決意に充ちていた。
「――では,おかみさん。わたしはこれで失礼しますね。おやすみなさい。お疲れのところをお邪魔して,すみませんでした」
彼女はもう一度おかみに頭を下げると,部屋を後にした。再びランタンの灯りを頼りに階段を上がると,自分の客室ではなく,向かいの男部屋のドアをノックする。
たとえ軍を動かす権限はなくても,皇女として,次期皇帝として,この女性の故郷を何とかして救いたい。――そう,リディアは心に決めていた。
「帝国はいつだって,あなた方の味方です。だって,プレナの国民は,レーセルの国民と同じくらい大切なんですもの」
それは彼女なりに,協力を惜しまないと宣言したようなものであった。
「ありがとうございます,姫様!」
おかみはリディアの手を両手で握り,額をこすりつけんばかりにして頭を下げる。
(わたしが,この人の故郷を救わなきゃ!)
リディアの表情は,決意に充ちていた。
「――では,おかみさん。わたしはこれで失礼しますね。おやすみなさい。お疲れのところをお邪魔して,すみませんでした」
彼女はもう一度おかみに頭を下げると,部屋を後にした。再びランタンの灯りを頼りに階段を上がると,自分の客室ではなく,向かいの男部屋のドアをノックする。



