自分では,当たり前のことをしようとしているだけなのだけれど。民を慈しみ,労ることこそ,君主としての基本姿勢なのではないだろうか?
「――あ,この部屋だわ」
廊下をつき当たったところに,おかみの寝室はあった。客室のドアとは明らかに違う,簡素な造りのドアを,リディアはコンコン,とノックする。
「おかみさん,リディアです。入って構いませんか?」
リディアが中に呼びかけると,中年女性の声で「まあ,姫様ですか?どうぞ」と返事があった。
「失礼します。おかみさん,お疲れのところに押しかけてすみません」
ドアを開けて室内に入ると,彼女はまず一言めに,おかみに詫びた。
そういえば,この女性はプレナから「嫁いできた」と言っていたのに,夫らしき男性は一度も見ていない。この部屋にもいない。
「おかみさん,失礼を承知でお訊きしますけど。あの,――ご主人やお子さんは?」
「――あ,この部屋だわ」
廊下をつき当たったところに,おかみの寝室はあった。客室のドアとは明らかに違う,簡素な造りのドアを,リディアはコンコン,とノックする。
「おかみさん,リディアです。入って構いませんか?」
リディアが中に呼びかけると,中年女性の声で「まあ,姫様ですか?どうぞ」と返事があった。
「失礼します。おかみさん,お疲れのところに押しかけてすみません」
ドアを開けて室内に入ると,彼女はまず一言めに,おかみに詫びた。
そういえば,この女性はプレナから「嫁いできた」と言っていたのに,夫らしき男性は一度も見ていない。この部屋にもいない。
「おかみさん,失礼を承知でお訊きしますけど。あの,――ご主人やお子さんは?」



